[施工診断事例] マンションの大規模修繕工事 ~足場不要という営業トーク~

状況
外壁改修の際に足場不要でその分工事費が安くなると言われ、その会社に発注したマンション管理組合がありました。引き渡し直前に施工診断をした結果・・・

塗装で仕上がっている面を打診調査してみました。
下地モルタルがほぼ全面で浮いていました。
あきれたことに外壁の浮きやひび割れの調査を何もしないで、いきなり仕上げ塗装をしたようです。
足場がないため工事監理も下請まかせ、依頼者側もチェックができず、引き渡しに至ったようです。
改めて、打診検査をさせましたが、あまりの浮きの多さに結局、業者負担で足場を組んで外壁改修を行うことになりました。
サッシや建具周りのコーキングを撤去して打ちかえることになっていましたが、前のシールをそのままにして表面に塗装されただけで引き渡し検査を迎えました。
写真は、新しく打ちかえたという割にはシールの表面が固かったので切り取り調査をしているところです。
事が発覚してからは、無償ですべてのシールを撤去して、新たにシールを打ち直し、シール表面に塗装をかけさせました。
これで完成という塗装面でした。
クレーター状の凹凸が表面に無数に現れていて、いかにも塗膜が薄いという印象を受けます。
そこで、渋る業者から材料メーカーの塗料出荷証明書を出させ規定量の半分程度しか塗料を使用しなかったことを突き止めました。
当然のことながら、しっかりと規定量を使用した再塗装を、外壁全面に無償で施してもらいました。
屋上のウレタン塗膜防水です。
引き渡し検査の段階で、すでに亀裂が入っていました。

外壁と同様に下地改修など一切行わずに、いきなり防水材を塗りたくったようです。
しかし、その量は少なくメッシュ補強もないため出隅が切れてきました。
すべての防水箇所をメッシュ補強でやり直してもらいました。

[施工診断事例] 住宅の全面リフォーム ~その業者の実態を知らずに知名度を信用した発注~

状況
中古住宅を全面改修するにあたり、知り合いもいないことからテレビや広告媒体でよく目にする著名なリフォーム会社のネーミングを信用して発注しました。 しかし、実際には営業で説明をうけた工事段取は行われず、現場は下請まかせ。
その結果・・・

今回の工事に、外壁のサイディング貼りが含まれていました。
しかし、完成引き渡し後に下から見上げてみると壁が傾斜しているように見えたそうです。
すべての外壁と床の勾配をチェックしたところ外壁の7割に瑕疵の存在と認定できる6/1000以上の傾きが発見されました。
引き渡し後の物件ではありましたが改めて全面足場を架けてもらい傾きがある面のサイディングは無償で貼り替えてもらいました。
中古の物件だったので、今回の工事の中で基礎の見直しをすると営業に言われ工事がスタートしました。
しかし実際には、基礎のひび割れ改修をおざなりに済ませただけで不安な基礎はほとんど手付かずで引き渡しを受けました。
そこで、改めて基礎補強の方法を提示し無償で添え基礎工法での基礎補強をしてもらいました。
写真は添え基礎の鉄筋を配筋検査している場面です。

[施工診断事例] 新築住宅 ~工期を無理して、工事を進めた現場~

状況
業者が約束した工期に間に合わすために無理やり工事を進めた結果間に合わない材料を手近の材料でごまかし、仕上げの粗雑さには目もくれないという工事が行われました。 依頼主にとっては一生に一度の買い物だというのに、そういう配慮の見えない建物となりました。

床下の写真です。
根太や束が細い材料同士を釘で打って使用されています。
結果的に必要な太さになっているとはいえ、到底一体になってはおらず、構造的な強度がでているわけもありません。
規定の大きさの材料がなかったために、あり合わせの材料で間に合わせたようです。
基礎周りの写真です。
排水管が基礎立ち上がりを貫通して配管されています。
調査すると貫通部に鉄筋補強がされていませんでした。
そこで、添え基礎による補強を提案しました。
写真はケミカルアンカーに鉄筋を配したところです。
この後、型枠を設けコンクリートを打設しました。
ベランダのサッシまわりの様子です。
サッシ下端を反射鏡で確認したところ、FRP防水の端末処理が不充分でした。
FRP防水を巻き込むような納まりにしてもらいます。